トラクターの耐用年数は7年|減価償却と中古・寿命の違い

確定申告の準備で、トラクターの耐用年数を調べている。古い資料に「乗用型8年」とあり、どれが正しいのか分からない。

先に結論をお伝えします。トラクターの法定耐用年数は7年です。コンバインや田植機も同じ7年で、国税庁の表では「農業用設備」としてまとめて扱われています。

この記事では、国税庁とメーカーの公開情報をもとに、減価償却の計算と中古で買ったときの扱いを整理します。あわせて、耐用年数と機械の寿命の違いも説明します。

  • トラクターの法定耐用年数は7年(平成21年分から)
  • 「乗用型8年・歩行型5年」は改正前の古い区分
  • コンバイン・田植機・乾燥機・刈払機なども同じ7年
  • 中古で買った機械は簡便法で耐用年数を短くできる(最短2年)
  • 耐用年数は税金の計算のための年数。機械の寿命とは別もの
  • この記事は、国税庁の公開情報をもとに一般的な取り扱いを整理したものです
  • 実際の処理は、帳簿の付け方や事業の形態(個人・法人)によって変わります
  • 最終的な判断は、税理士または所轄の税務署に確認してください
目次

トラクターの耐用年数は国税庁の表で「7年」

耐用年数とは、機械の購入費用を何年に分けて経費にするかを決める年数です。国が資産の種類ごとに定めていて、自分で自由に決めることはできません。

国税庁の耐用年数表(機械・装置)では、「農業用設備」の耐用年数は7年です。トラクターはここに入ります。

出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(機械・装置)」

平成21年分から「農業用設備」で一律7年になりました

以前は、トラクターでも乗用型と歩行型で年数が分かれていました。平成20年度の税制改正で区分が見直され、平成21年分から一律7年になっています。

クボタとヤンマーも、公式のよくあるご質問で同じ内容を案内しています。

出典:クボタ よくあるご質問「農機具の法定耐用年数」

出典:ヤンマー よくあるご質問「農業機械の耐用年数を教えてほしい」

「乗用型8年・歩行型5年」は古い区分です

インターネットや古い手引きには、いまも改正前の年数が残っています。混同しやすいので、並べておきます。

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機械改正前(平成20年分まで)現在(平成21年分から)
トラクター(乗用型)8年7年
トラクター(歩行型)5年7年

これから購入する機械や、いま償却している機械には、7年を使うのが基本です。過去の年分の扱いで迷ったときは、税務署に確認してください。

農機具の耐用年数表|コンバイン・田植機も7年

7年になるのはトラクターだけではありません。ヤンマーは、主な農業機械として次の機種を挙げています。

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区分主な機械耐用年数
農業用設備トラクター、耕うん機、田植機、コンバイン、バインダ、籾すり機、米選機、乾燥機、動力散布機、動力噴霧機、運搬車、刈払機7年

出典:ヤンマー よくあるご質問「農業機械の耐用年数を教えてほしい」

7年にならない機械もあります

同じヤンマーの案内では、参考として別の年数も示されています。歩行型除雪機は10年、精米機は5年(コイン精米機は7年)です。

農家で使う機械でも、用途によって区分が変わるということです。手元の機械がどこに入るか迷うときは、税務署に確認してください。

軽トラは「車両」の区分で4年です

農作業に使っていても、軽トラは農業用設備ではありません。国税庁の表では「車両・運搬具」に入ります。

総排気量0.66リットル以下の小型車は、耐用年数4年です。トラクターと同じ7年で計算しないよう注意してください。

出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(車両・運搬具・工具)」

トラクターの減価償却の計算方法

減価償却とは、高額な機械の購入費用を、耐用年数に分けて少しずつ経費にする仕組みです。買った年に全額を経費にはできません。

個人の農家は「定額法」が基本です

国税庁によると、個人の場合の償却方法は、一般的には定額法です。別の方法を選ぶには、税務署への届出が必要になります。

定額法は、毎年同じ金額を経費にする方法です。計算式は次のとおりです。

1年分の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

耐用年数7年の定額法の償却率は0.143です。国税庁の「減価償却資産の償却率等表」で、平成19年4月1日以後に取得した資産の欄に載っています。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」/No.2106「定額法と定率法による減価償却」

法人の場合は、償却方法の扱いが個人と異なります。農業法人の方は、顧問の税理士に確認してください。

年の途中で買ったときは月割りにします

買った年は、使い始めた月から12月までの分だけを計上します。1年分の金額を12で割り、使った月数を掛けます。

計算の例を示します。金額は計算方法を示すための仮の数字です。

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項目例
取得価額350万円の新品トラクター
使い始めた月4月
1年分の償却費350万円 × 0.143 = 500,500円
買った年の償却費500,500円 × 9か月 ÷ 12 = 375,375円
2年目以降毎年 500,500円

買った年が9か月分しかないため、償却は8年目にずれ込んで終わります。

償却が終わると帳簿には1円が残ります

償却は、帳簿上の価額が1円になるまで続けます。最後の年は、残りの金額から1円を引いた額を計上します。

この1円は、機械をまだ持っていることを帳簿に残すためのものです。売ったり処分したりした年に、帳簿から外します。

安い農機具は一度に経費にできる場合があります

取得価額によっては、7年に分けずに済みます。国税庁の案内を整理すると、次のとおりです。

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取得価額扱い条件
10万円未満使い始めた年に全額を経費にするなし
20万円未満3年で均等に経費にできる(一括償却資産)選択制
40万円未満使い始めた年に全額を経費にできる一定の要件を満たす青色申告者。年300万円まで

40万円未満の特例は、令和8年4月1日以後に取得した資産が対象です。それより前に取得したものは30万円未満が基準になります。適用期限は令和11年3月31日までの取得分です。

「30万円未満」と書いている解説はまだ多いので、取得した日付で確認してください。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在法令等)

中古トラクターの耐用年数は「簡便法」で決める

中古で買った機械は、新品と同じ7年で償却しなくてもかまいません。残りの使用期間を見積もって、短い年数を使えます。

見積もりが難しい場合は、国税庁が定める「簡便法」で計算できます。

簡便法の計算式

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中古機の状態耐用年数の計算
7年をすべて過ぎている7年 × 20%
7年の一部を過ぎている(7年 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

計算結果に1年未満の端数が出たら切り捨てます。結果が2年に満たない場合は2年とします。

出典:国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」

経過年数ごとの耐用年数の例

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経過年数計算耐用年数
3年(7−3)+ 3×20% = 4.64年
5年(7−5)+ 5×20% = 3.03年
7年以上7×20% = 1.42年

7年以上たった中古機は、2年で償却できるということです。農家が買う中古トラクターの多くはここに当てはまります。

ただし、修理や改造に取得価額の50%を超える費用をかけた場合は、簡便法を使えません。

経過年数には「年式」が必要です

経過年数は、その機械が作られてからの年数で数えるのが一般的です。年式が分からないと、計算ができません。

クボタ・ヤンマー・イセキは、型式などから製造時期を調べられる公式の検索を用意しています。手順は別の記事にまとめました。

→ トラクターの年式・型式の調べ方|3メーカー公式の手順

トラクターの耐用年数と寿命は別もの

ここは誤解が多いところです。7年という年数は、税金の計算で経費を配分するための決まりです。機械があと何年動くかを示すものではありません。

実際には、7年を過ぎても現役で使われているトラクターはたくさんあります。帳簿上は1円でも、機械としての価値は残っています。

実際に使える年数は使い方で大きく変わります

何年もつかは、稼働時間・保管場所・整備の状況で変わります。屋根の下で保管し、オイル交換を続けてきた機械は長く使えます。

「何時間で寿命」と一律に言える数字は、メーカーから示されていません。インターネット上の数字は目安の一つとして受け止めてください。

売るときに見られるのは年数より状態です

買取の査定で耐用年数が問われることはありません。見られるのは、型式・年式・アワーメーター(稼働時間計)・動作と外観の状態です。

中古の農機具は海外でも需要があり、年式の古い機械にも値がつくことがあります。償却が終わったからといって、価値がないと決めつける必要はありません。

なお、償却が終わった機械を売ると、帳簿上の残りが1円しかありません。売った代金の多くが、税金の計算上の利益になります。ここは売却の税金の記事で詳しく説明しています。

耐用年数を確認したあとに読む記事

手元の機械の状況に合わせて、次の記事を参考にしてください。

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調べて分かったこと次に読むとよい記事
償却が終わった機械を売りたい農機具を売ったときの税金と確定申告
中古で買った機械の年式が分からないトラクターの年式・型式の調べ方|3メーカー公式の手順
7年以上たっているが値がつくか知りたい古い・中古トラクターの買取|何年落ちまで値がつくか
いまの機械の評価を知りたいトラクター買取相場|年式・アワーメーター・メーカーで決まる
軽トラも手放すか考えている軽トラック買取の相場|20年落ち・過走行でも値がつく理由
離農にあわせて機械を整理したい農業をやめる手続き|離農時の届出と農機具・農地の順番

トラクターの耐用年数についてよくある質問

コンバインや田植機の耐用年数は何年ですか

トラクターと同じ7年です。いずれも「農業用設備」に含まれます。

中古で買った場合は、トラクターと同じく簡便法で短い年数を使えます。

軽トラの耐用年数は何年ですか

総排気量0.66リットル以下の小型車として、4年です。農業用設備の7年ではありません。

中古の軽トラで4年をすべて過ぎていれば、簡便法では2年になります。

耐用年数を過ぎた機械を売ると税金はかかりますか

事業用の機械を売った代金は、原則として譲渡所得として扱われます。年間50万円の特別控除があり、その範囲に収まれば課税されないのが一般的です。

計算の手順は、農機具を売ったときの税金と確定申告にまとめています。

農機具は固定資産税の対象ですか

市町村によっては、事業用の農機具を固定資産税の「償却資産」として申告するよう案内しています。申告の期限は1月31日としている例があります。

対象になる機械や手続きは市町村で確認してください。所得税の減価償却とは別の手続きです。

例:粕屋町「農業所得及び農業用償却資産の申告」

中古で買った機械の製造年が分かりません

機体の銘板で型式を確認し、メーカーの公式検索で製造時期を調べられます。手順はトラクターの年式・型式の調べ方で説明しています。

それでも分からない場合は、購入した販売店に問い合わせてください。

まとめ

  • トラクターの法定耐用年数は7年。平成21年分から「農業用設備」で一律
  • コンバイン・田植機なども7年。軽トラは車両の区分で4年
  • 個人は定額法が基本。年の途中で買ったら月割り
  • 青色申告者の少額特例は、令和8年4月1日以後の取得から40万円未満
  • 中古は簡便法で計算でき、7年以上たった機械は2年
  • 耐用年数は寿命ではない。償却が終わっても機械の価値は残る

帳簿上の価値と、市場での価値は別ものです。償却が終わった機械を手放すか迷っているなら、まずは古い機械にどのくらい値がつくのかを確認してみてください。

→ 古い・中古トラクターの買取|何年落ちまで値がつくか

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